彼の手がキライ



ただ、これはトキメキじゃない。


目を離しちゃいけない、そんなことを思わせる彼の瞳にビックリしたんだ。


別に新井達也が怖いとかそういうんじゃないけど。


わたしの顔は一瞬で真顔になったんだろうね、間違いない。


新井達也の視線はすぐ違うところに向いた。


彼の周りには自然と人が集まる。


彼は色々な人に視線を向けて笑う。


当たり前だけど彼はみんなのもの。



「じゃあ、そろそろ撮影しようか!」


ビデオカメラを持ったマリンが張り切ってみんなに聞こえる声で言った。