あっ、お礼を言ってない!


いないと分かっていながらもドアを開けた。


……やっぱりいなかったから無意味に空を見上げてみた。


雲が全くない。


よく晴れている。


ダイヤモンドを埋め込んだような星空。


空に手を伸ばして空が届かないものを実感する。


――今日はもう寝よう。


家の中に入り、布団に潜り込む。


お母さんは仕事でいないから1人の夜。


1人の夜は慣れている。


口の中から消えたチロルチョコは莱ちゃんの記憶と重なる。


もう戻せないのかな――?