彼の手がキライ



莱ちゃんの立場がうらやましくて仕方がなかったからこそ……なんだろうね。


こんなに“思い出して欲しい”って思っちゃうのは。


体調が悪くて下がっていた気分が、なんだかまた少し下がった気がする。


優羽くんのことに関しては考えれば考えるほど辛くなる。


手のひらにのせられたチロルチョコの包装紙をペリッとはがす。


周りの暗さに溶け込んでしまっている四角いチョコの端を少しかじると、甘さが口いっぱいに広がった。


かじって欠けたチョコを全部口に入れてみると、予想していたより大きい。