彼の手がキライ



「来週、希莉と莱と和之がオレんちに遊びに来るんだ」


家の方向に向いていた新井達也がいきなり、こっちに振り向いてきた。


「このチロルチョコ、莱が好きでさ」


……え?


新井達也が好きなんじゃなくて?


莱ちゃんのため?


コンビニの袋から牛柄のミルクチョコを1つだけ取り出して下から投げてきた。


「わっ!」


周りが暗かったのもあるし反射神経が鈍いのもあって、チロルチョコは地面に叩きつけられてしまった。


「矢沢って鈍いな。こんなんのもとれねぇのかよ」