彼の手がキライ



「いいってば」


送ってもらうの断ったのは副作用がなかったからとかじゃない。


「新井達也には彼女がいるから……」


だから断ったの。


頬を押しているペットボトルが少しずつ暖かくなる。


新井達也の表情は呆れ顔になる。


「女ってさ、なんで彼女の存在を気にするんだよ。
恋人じゃないやつに構ったらいけねぇの?
人としてさ、体調が悪いやつをほっとくってナシだろ?」


ナシって言われるとそうなナシな気もする……けど。


「お前はオレがしんどそうにしていても知らん顔できるのかよ」