彼の手がキライ



でも、この家に入ると罪悪感と泣きたい気持ちでいっぱいになる。


罪悪感はお母さんに対して。


泣きたい気持ちになってしまうのは、優羽くんが――…。



ツラい感情を表情に出さないように頑張るから、帰る頃にはいつも疲れていて体が重い。


“じゃあ、なんで来るの?”って、言われても“分からない”としか言えない。


この家に来るのは習慣になっていて、体が勝手にわたしをここに連れてくる。



離れていたドアに近づき、ドアのすぐ隣にあるインターホンのボタンに指をのせる。