運命ノ輪ガ、廻ル…
僕が通り、視界で揺れるのは青々と生い茂る木々。
木々からは緑色の優しい光が茶色の地面へと降り注ぐのです。
ここは深い森の中…。
葉の擦れるざわめきは、
小さく微かに、
時に僕に吹かれ大きく。
姿を隠した小さな虫たちの奏でる音色が心地よく、誰もが溜め息を漏らします。
緑色が混じり合いながら白く霞む霧の向こうでは、木々の合間から暗い空が覗きます。
紺色の空には、
月が輝いています。
アレハ…、僕ノ心。
ココハ…
僕ガ愛シタ世界。
僕は、風。
僕の心と彼女への愛が重なった時、一番幸せな心の僕は「風」になり、嬉しくて、この世界を一周するのです。
僕は、風。
風を仕えるのは、森の主。
早く世界を一周して、彼に報告しなくてはなりません。
綺麗な世界を見て廻り、また深い眠りにつかなくてはなりません。
世界を永遠に守り続ける為に。
白き花に…
マタ、
貴女ニ逢ウ為ニ……