そう誓った稚尋は、力強い瞳を澪に向け、言った。




「俺は桜 稚尋、《サクラチヒロ》覚えといてよ……姫?」



 稚尋はそれだけ言うと、泣いてる澪を置いて保健室を出た。




 これが、桜稚尋と朝宮澪との出会い。








 時がたとうとも、澪は稚尋を求めることをしなかった。



 稚尋が澪に迫るたび、澪は悲しそうに頬を赤らめ、涙を流す。



 稚尋は、澪を泣かせてばかりだった。



 澪の笑顔が見たい。


 それだけなのに、その願いは叶わない。




「嫌だ……」



「嫌いよ…っ…!」



 澪からの言葉が、稚尋の脳内に焼き付き、忘れられない。



 平気な顔をしているが、本当は、そうでもない。







 それなのに、たまにみせる彼女の笑顔でまた元気が出る。


 今までの女の、何倍も扱いにくい女だと思った。






 あぁ。
 本当に、女心は読めやしない。











★女心は難しい?“稚尋”


【END】