愛美を傷つけて、加奈子に見放されて。 あたしはどうしようもない喪失感に襲われる。 だけど心の隅では、誰にもあたしの気持ちは分からないんだという投げやりな感情が居座る。 加奈子にも愛美にも、それぞれに家の事情があることは分かる。 だけどあたしだってあたしなりの事情がある。 あたしなりの辛さがある。 それを贅沢だとか、ワガママだっていう風に片付けられたくない。 愛美は相変わらず俯いて、加奈子は愛美とあたしを交互に見てくる。 あたしはとてつもない居心地の悪さに堪えられなくて、席を立った。