それは完全にタブーだった。 愛美の表情がみるみる曇る。 だけど言ってしまったことは取り消せない。 傷つけた事実は変わらない。 俯いてしまった愛美の背中に手を回しながら、加奈子があたしを強く睨む。 「最低だね、幸は。自分が一番可哀相だと思ってるんだ」 加奈子の声はあたしの胸をズシンと揺らした。 ショックだった。 友達に最低だと言われたことが。 最低だと言わせてしまった自分自身が。 食べかけていたクレープのクリームが溶けて、たらたらとこぼれ落ちた。