「家庭教師なんか要らないよ!」 あたしはそう言い放ってその場を去ろうとした。 咄嗟に父があたしの腕を掴む。 父が腕を大きく引くと、あたしは父の方に向き直させられた。 「逃げるんじゃない。お前のために言ってるんだ」 大人はいつもそう。 何かと言うとあたし達のためだと言って押し付ける。 でもそんなのは結局、大人の勝手な都合なんだ。 「あたしのことなんだから、放っといてよ」 イライラが募る。 あたしの腕をつかむ父の手が、酷く憎たらしい。