ぼくの 妹 姫




家の横に駐車してある車のドアに手をかけ


ふと夜空を見上げると



白い下限の月が浮かんでた








警察署の廊下を進むと



「中西先生!」



ベンチに疲れた顔して座ってた生徒の母親がいて



「怪我とかは……」と訊くと



「軽い物だけです
うちのが問題起こして本当にすみません」


深々と頭を下げられたから


「いえ」と顔を上げてもらう




部屋から出てきた生徒も
口が切れて頬が少し腫れてるくらいだった



理由を聞くと どうやら女の子絡みで喧嘩したらしい



よくある話だ



警察署の廊下で生徒と母親が帰る後ろ姿を見送ってから



さて、オレも帰るか


そう思った時





    「中西 楓?」




後ろから名前を呼ばれ振り返ると




白髪頭の鋭い目のオッサン




しばらくして思い出し



「―――――――――……」



ぼくは言葉が出なくなる




「久しぶり。楓くん
―――――8年ぶりかな?」



目を細めて笑ったのは


稲垣(イナガキ)刑事



蕾の暴行事件の時の刑事だった