カツ、カツ
黒板に白いチョークで計算の解き方を書き



「で、ここでχを求めるには……」




『蕾、蕾』


『なぁに』



後ろで伊東と蕾の小声が聞こえる



―――――――――――…っ



『え~?』


『マジ、マジだって』



なんだろう?


友達がいて良かったじゃないか?



――――――――――でも
なんで男なの?蕾



伊東なんて下心見え見えじゃないか



蕾は可愛いんだから
もっと気をつけてよ――――――――――――



「先生!」


ハッ


生徒の声にハッとして



「中西先生。そこはχ=8ではないですか?」



「え?……あ。あぁ」


間違えを指摘され


「ごめんな」


黒板を消した


チラッと蕾を見ると


心配そうにオレを見てた




嫌だ



蕾が男と笑ってるなんて



おかしいよ