抱き合うと温かいから



私はすぐにうとうとし始めた




お母さんはもういない



公園での事件ももう終わった事




それなのに



過去って恐ろしいモノで



絶対消えてくれない




いつも影みたいに足にくっついてて



忘れるなと私をにらんでいる



逃がさないと私を掴む




だけどお兄ちゃんの腕の中は聖域のように感じられた




暗い影が切り離される



聖域




私が眠りに落ちる前に



規則正しい寝息が私の上から降りて来て


お兄ちゃんの胸から顔を離すと




いつもより幼く見えるお兄ちゃんの寝顔



頬にまつ毛が落ちてたから
指で払ってあげた




「……おやすみなさい
お兄ちゃん」




私はまたお兄ちゃんの胸に顔を埋め、ギュッと抱き着き 目を閉じた





私の存在もお兄ちゃんにとって聖域だったとは



知らないけど