無くなる事がわかってる 誰かに奪われる事がわかってる そんな優しさなら 最初からない方が いいんじゃない? 「ん。出来たよ、蕾」 「………ありがとう」 お兄ちゃんは 唯一 優しくしてくれる人 だけど いつかは誰かに奪われてしまう人 学校に行って教室に入ると 「蕾~!宿題見せて」 相変わらずの明るさで宙が手を振った 私は机に教科書をしまいながら 少し ホッとした 宙の明るさにホッとした