美紗は 母方の伯父の娘


ぼくの従姉妹だ



両親が亡くなってからは



高校を卒業するまで


ぼくは美紗の家で世話になった




「ねぇ、楓」


「なに?」


「………彼女、できた?」


「………いや」


「そっか…………」

美紗は 従姉妹だけど


ぼくの元カノだったりする



伯父たちが寝静まった夜中



美紗を抱くのは



あの時 唯一の救いだった



「美紗は?
ちゃんと幸せデスか?」



ふっ……と寂しそうに笑う声が聞こえてから



「どうだろうねぇ

私はまだ楓が好きだし」


「なに言ってんの
ぼくと別れてから何人か付き合ったじゃない?」



「うん。だから、わかる
私は結局、楓が好きだって」



バカか 美紗は



「ぼくと別れたいって言ったのは美紗だよね?」



「………そうだね」


「ヒドイ振られ方だったから
ぼくは傷ついたんデスけど」



思い出す


高校生の頃


親を殺し、蕾と離れ


必死に
精神を冷静に保つようにしてた毎日に


美紗とのセックスは


唯一の救いだったのに