なに言ってんだ?こいつ




「ね?楓だって
これから高校、大学と
蕾ちゃんの面倒みるなんて
絶対に無理だよ

だからね、
蕾ちゃんも中3だし……」



「待てよ、美紗!」


ぼくの大きな声に
美紗の肩がビクッとした



「美紗はそんな事を言いに
電車乗ってバス乗り継いで
はるばる、こんな田舎まで
来たのかよ………」


ここは駅もない田舎町



美紗の住む街から
ここまでは
電車とバスで
片道6時間かかる





美紗は暗い顔でうつむいて



「私は…ただ
楓の負担を考えて……」



「余計なお世話だよ
ぼくと蕾はうまく行ってるんだ
邪魔しないでくれよ」



この頃ぼくは
蕾に狂っていた



今までのぼくは
両親への贖罪の気持ちと
蕾を守りきれなかった
罪悪感に苦しんで
夜も眠れなかったけど



蕾が ぼくを
受け入れてくれてからは
何もかもが楽になったんだ



蕾はぼくの免罪符であり
全てを麻痺させる薬でもあった




「邪魔しないでくれよ美紗
ぼくは蕾を手離す気はない」




当然のことだった



だから この時の
ぼくの態度に
美紗が違和感を持つなんて
考えてもなかった