全然気づかなかった。

先輩の耳って、いつも髪に隠れていたから。



「自分で開けたの?」


「うん。ちょっと痛かったけどね」



すごいすごい。

自分でピアスを開けるその勇気に、あたしは惚れ直してしまう。



「じゃあ……先輩に開けてもらおうかな」


「ほんとう? じゃあさ、日曜日、俺の家に来たときに開けようか」


「うんっ」



病院で開けてもらったほうが、安心で安全なのに。

だけど……、大好きな人にピアスを開けてもらう方を、あたしは選んだんだ。