お父さんが家に帰って来たのは夜十時。 あたしがちょうど、お風呂から出た頃だった。 「ただいまー」 スーツのネクタイを緩めながらリビングに顔を出したお父さん。 その時のあたしは、ピアスを開けるのに必要なモノをキッチンで調達していた。 「おかえり雅人。すぐご飯できるよ」 「あぁ、ありがと……」 お母さんに言いながらも、お父さんの視線はあたしに向けられている。 「奈緒、何やってんだ? ケガでもしたのか?」 「え? ううん。ちょっと」