「……うん、行く」 火照った顔をごまかすように、あたしはからくり人形のようにこくこくと何度も頷いた。 「じゃ決まり」 ニコッと笑った先輩はやっぱりカッコよくて。 あたしはつい、その笑顔に見とれてしまった。 家に帰ると、あたしはすぐに自分の部屋に向かった。 そして、クローゼットのドアを開け、日曜日に着ていく服を物色し始める。 「あぁ、どれもダメ」 ずっと好きだった先輩の家に遊びに行く。 これが初めてのデート。 それなのに、クローゼットにある服は、どれもピンとこないものばかり。