あたしが先輩と付き合えるようになったのは、森谷のおかげって言えば、確かにそう。 あいつが強引に告白できる状況を作ってくれなかったら、今もあたしは先輩を見ているだけだった。 あたしの告白に対する森谷の思惑がどうであれ、感謝しなければならない。 だけど…… こうもムカつく態度とられると、「ありがとう」の言葉を言うのも嫌になる。 「……奈緒?」 「あっ」 あぁ、やだやだ。 こうやって先輩と一緒にいるのに。 あの天敵・森谷のことを一瞬でも考えているなんて。