†Orion†〜Nao's Story〜



「あー、そうそう。“口先だけのヘタレ女”って言ったことも謝ってよ?」



人差し指を顎にあてながら、森谷に優しく微笑むあたし。

はっきり言って、かなり性格悪いと思う。


でも、相手は森谷だ。

これまで散々、コイツには嫌味を言われ続けてきたんだし。

これくらいの報復、神様だって許してくれるに違いない。



「……付き合うことになったのか?」



土下座を強要するあたしに、森谷はすべてを悟ったらしく顔をしかめて訊いてくる。



「そう。あたし、先輩の彼女になったの」


「何番目の彼女だよ。いや、彼女っていうより、“都合のいい女”になったの間違いじゃね?」



ずっと好きだった人の彼女になれたあたしは、とんでもなく心が広い。

森谷の憎たらしい言葉さえも、今は可愛く思えてしまうから不思議だ。