「あー、そうそう。“口先だけのヘタレ女”って言ったことも謝ってよ?」
人差し指を顎にあてながら、森谷に優しく微笑むあたし。
はっきり言って、かなり性格悪いと思う。
でも、相手は森谷だ。
これまで散々、コイツには嫌味を言われ続けてきたんだし。
これくらいの報復、神様だって許してくれるに違いない。
「……付き合うことになったのか?」
土下座を強要するあたしに、森谷はすべてを悟ったらしく顔をしかめて訊いてくる。
「そう。あたし、先輩の彼女になったの」
「何番目の彼女だよ。いや、彼女っていうより、“都合のいい女”になったの間違いじゃね?」
ずっと好きだった人の彼女になれたあたしは、とんでもなく心が広い。
森谷の憎たらしい言葉さえも、今は可愛く思えてしまうから不思議だ。


