†Orion†〜Nao's Story〜



「そっか。“なんでもない”んだな?」


「うん。“なんでもない”よ」



お父さんをちらりと見て言うと、ようやくお父さんの顔に安心したような笑みが広がった。


それを見てあたしは思う。

どんだけ過保護なんだよって。

娘が恋愛することが、そんなに嫌なのかって。



「あぁー、最高だねっ、このパフェ」



話を摩り替えるようにして、あたしがうっとりとした顔でそう言うと。



「で? 長谷川とはどうやって知り合ったんだ?」



あたしの感嘆の声をかき消すようにして、お父さんが問いただしてきた。



「……どうやってって……。知り合いじゃなくても、同じ高校なんだから先輩の情報なんて嫌でも入ってくるでしょ」


「まぁ……そうだな」