言いかけて、お父さんはハッとしたような顔であたしをじっと見る。
「まさか奈緒……、長谷川のこと……」
「えっ……」
「付き合っているとか、好きとか、そういうことなのか?」
顔をしかめて訊くお父さんに、あたしは慌てて首を横に振った。
「ちがうよ、そんなんじゃない。ただ、先輩がバイトしてたって聞いたから、お父さん知ってるかなーって思って」
ごまかすようにして、あたしはお父さんから視線を外し、パフェを食べることに集中する。
先輩と付き合い始めたことを、お父さんに報告する義務はない。
友達感覚で“彼氏なんだー”なんて話しても、この様子だと間違いなくお父さんは反対するに違いない。
……だって、今のお父さんの顔、すごく険しいから。


