†Orion†〜Nao's Story〜



バニラにチョコ、カシスのアイスクリーム。

いろんな味が口の中で混じり合うけれど、違和感ひとつない味。

あたしは「おいしい」と何度も言いながら、夢中になってパフェを食べる。

お父さんは、あたしの目の前に座ると、頬杖をついて優しく微笑みながらその光景を見ていた。



「……あ、そうだ」



パフェを半分ほど食べたところで、あたしは食べる手を休めた。



「ねぇ、うちの高校の三年生で長谷川先輩って人がいるんだけど……、知ってる?」


「……長谷川?」



名前を聞いたお父さんは眉間にシワを寄せて、“長谷川”という人物を思い出そうとしている。



「あぁ……、確かうちの店にヘルプで何回か来ていたな」


「知ってるの!? 喋ったことある?」


「そりゃあ、長谷川も厨房だし……、喋ったことは……」