森谷はそんなあたしを見て、「おまえらしい告白の仕方だな」と笑ったあと、言葉を続けた。
「俺は先輩以上におまえを大切にしてやるぞ」
「……“してやる”って、なんなの、その上から目線は」
悪態をつくあたしなんて無視して、森谷は話を進める。
「ずーっと好きだったヤツが、やっと俺のものになったんだからな」
やっぱり上から目線で、しかもモノ扱いときた。
それでもあたしは、表情ひとつ変えず、さらりと言い放つ森谷にドキドキしてしまうんだ。
学校から帰ってきたら、きっとお父さんから森谷のことを追求されるに違いない。
でも、それならそれで、あたしは胸を張って言える。
“彼は先輩のような人じゃないから、安心して”
……まぁ、親バカなお父さんのことだから。
そう簡単に首を縦には振らないだろうけど。
――fin――


