うん、確かに。 森谷の言うとおりだ。 “好き” そのたった二文字を言っちゃえばいいんだ。 言ってしまえば、このさき強要すれることもないだろう。 何度も、大きく深呼吸をする。 「……じゃ、言うから。最初で最後にしてよ」 「はいはい」 ゆっくりと息を吐き出して。 “好き” 自分が抱えている思いを言葉にしようとしたときだった。 完全に閉めたはずの玄関のドアが、ガチャリと開く音がした。