「行ってきますっっ」
強引にお父さんを振り払って、ドアを少しだけ開ける。
ドアの隙間をすり抜けるようにして外に出ると、そこには森谷……。
「……なんで、ここにいるんですか森谷さん」
「朝イチで言えって言ったろ?」
「そうだけどさぁ、家にまで来ないでよ」
「……本当は嬉しいくせに」
あぁ、もう。
そうですそうです。あなたの言うとおりです。
森谷がうちに来た瞬間、困惑したけれど。
顔がほんの少しだけ緩んでしまったのは、嬉しい証拠。
「あんまり長引くと、かえって言いづらくなるぞ」
「………」
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