†Orion†〜Nao's Story〜



いやあぁぁぁ、その話は帰ってからにしてよ。

ドアを隔てたむこうには、ヤツが……森谷がいるんだよ。

森谷がいつ、このドアを蹴破ってくるか……。



「赤ちゃんが生まれても、俺は今までどおり奈緒とさくらのことも大切にするからな」


「うっ、うん……っっ」


「奈緒とさくらは……」


「お、おおおお父さんっ、ごめん、あたし、すっごい急いでるんだ」


「あ、そうか。ごめん」



ごめん、お父さん。今は本当にそれどころじゃないんだ。


赤ちゃんが生まれることは大歓迎だよ。

あたしもさくらも、もう子供じゃないんだから、“赤ちゃんばっかり構ってる!”なんて駄々をこねたりしないよ。



だけど……ありがとう。

そこまで考えてくれていることが、嬉しいよ。