キッチンからこっちに向かってくる足音と声の主はお父さん。
やばい。
面倒なことになるよ。
そう思って、あたしは「ちょっと待ってて!」と森谷に言うと、慌てて玄関のドアを閉めた。
なんで、なんで森谷が来るわけよ!?
ひょっとして、昨日の“朝イチ”ってこういうこと?
て言うか、いくら“朝イチ”でもこれはないでしょ。早すぎだしっ。
「……どうした?」
「あっ、いや、別に、なんでもないっ」
フーフーと息を吐きながら、あたしはドアに思い切り背中を押し当てて、外から開かないように力を込める。
「じゃ、あたし、行って……」
「あ、奈緒。赤ちゃんのことだけど……」


