†Orion†〜Nao's Story〜



興奮した様子のお父さんがものすごい勢いであたしに抱きついてくる。

ふわりと漂う、お父さんの香り。

香水はつけていないから、これはお父さんそのものの“匂い”だ。


鼻をくすぐるいい匂いと、お父さんの大きな腕にすっぽりと包まれたあたし。

変にドキドキしてしまう。


お父さん、これってセクハラだよ。


あ、違うか。スキンシップか。



「ちょっと落ち着いてよ、どうしたの」


「おまえは、お姉さんになるんだ」


「? いや、もうすでに“姉”だけど?」


「だけど、さらにお姉さんになるんだよ」


「……あ……ひょっとして」



赤ちゃんが、できた――?