「なぁ、奈緒。このペンはおまえが盗ったんだよな。“にこにこプー”、小さい時によく観ていたもんな」
ひどい。
傷つけられた仕返しを、こんなカタチでしてくるなんて。
“俺の娘だから”
あの言葉は、嘘だったんだ。
あたしが言い放った“赤の他人”。
今あたしの目の前にいるのは、お父さんじゃない。
言葉通り、“赤の他人”だ。
言葉が出てこず、泣くことしかできないあたしに、お父さんはさらに言葉を続ける。
「“にこにこプー”のペンが欲しくて、手に取って、ついそのままバッグに入れたんだよな」
こんなまわりくどい言い方……。
嫌味にしか聞こえない。


