瞼の奥がじわりと熱くなる。
あたしが、お父さんや周囲の声にもう少し耳を傾けていれば。
あたしは先輩と付き合うこともなかったのに。
スーパーで差し入れを調達なんかせずに、お父さんとゆっくり話ができる日を待てばよかったのに。
万引きを否定し続けるあたしを見たあと。
お父さんは、オバチャンを真っ直ぐに見据えて言った。
「警察を呼んでください」
「……えっ? 警察って……」
堂々と言い切ったお父さんに、店長とオバチャンは困惑する。
「お父さんっ!? あたし万引きなんかしていない……っ!」
なんで?
あたしが本当にやったって思っているの?


