†Orion†〜Nao's Story〜



「防犯ビデオも確認したんですけど、売り場がちょうど死角になっていて、確認が取れなかったんですよ」



今度は店長が、口を挟むようにして言う。


だから。

あたしは盗っていないってば。



「そうですか」



お父さんの、少し落胆したような、力ない声に、あたしは思わず顔を上げる。


お父さん、まさか、あたしが盗ったって思ってるの?



「あたし、盗ってない!」



久しぶりに見たお父さんの顔。

仕事で疲れているんだろうな。なんだか少し痩せたように見える。


疲れているのに、毎朝テーブルに並ぶあたしのお弁当と家族の朝食。

こんなくだらないことで呼び出されて……。