†Orion†〜Nao's Story〜



あぁ、きっとあの人たちだ。

先輩の彼女と、その取り巻き。


店内で、こういうペンがある売り場に、あたしは一歩も足を踏み入れてない。

なのに、あたしが盗るところを見た、と証言しているのはあの人たちしかいないわけで。


しかもこのオバチャン、「目撃した“子”」って言ってたし。

その扱いは、どう考えても買い物途中の主婦じゃない。



「親御さんに来てもらいましょう」



万引きを否定し続けるあたしに業を煮やしたのか、店長が溜息まじりに言う。



「そうね。ねぇ、自宅の番号、教えてくれる?」



お母さんなら、きっと信じてくれる。

あたしはやっていないんだ。


上等だ、と、あたしはオバチャンをキッと睨みつけて言う。