彼女たちはにこにこと笑っているけれど。
あたしにはどうも、この空気が息苦しくさえ感じる。
「すみません、あたし、急いでいるので」
「あ、ごめんねー。引き止めたりして」
「いえ」
もう勘弁してほしい。
あたしは逃げるようにして足早にレジへと向かった。
ちょっと買いすぎたかな。
二つに分けられた買い物袋は、あたしが予想していた以上に重かった。
両手に提げて、ふうふうと息を切らしながらスーパーを出る。
少し歩いたところで、後ろの方から、こっちに向かって駆け寄って来る足音と。
「ちょっと待ちなさい」という大きな声が聞こえてきた。


