「奈緒ー、帰ろー」
「あ、ごめーん。あたし、今日ちょっと寄るところがあってさ」
「えーそうなの?」
その日の放課後。
あたしは亜里沙の誘いを丁重にお断りして、ある場所に向かった。
学校近くのスーパー。
そして、その後は、お母さんから得た情報を元にお父さんがヘルプで行っているというお店。
激務に追われているお父さんに、栄養のあるものをスーパーで調達しようと思ったんだ。
あたしはお父さんみたいに器用じゃないから、手作り料理なんて無理。
夕方、買い物のおばちゃんたちでごった返すスーパー。
あたしは買い物カゴをぶら下げて店内に並べられたモノを物色し始める。


