†Orion†〜Nao's Story〜



もっと言葉を選ぶべきだったかな。

殺気さえ感じる彼女の様子に、一瞬、しまった、と思った。


でも、慎重に言葉を選んで話す余裕がなかった。

言葉を選べば、きっとあたしは“魔が差しただけ”とか、先輩の愚劣な行為を許すことになってしまう。



「……もう慣れたからいいのよ。最後にはあたしのところに戻ってくるわけだし?」



……そんなんでいいわけ?

あたしだったら絶対にイヤだけど。



「まぁ、とにかく。あいつには、斉藤さんにはもう二度と近づかないように言ってあるから安心して」


「はぁ……」



……って、それだけ?


言いたいことを言ってスッキリしたのか、彼女たちはそのまま立ち去って行った。


て言うか。

あたしは全然スッキリしない……。