†Orion†〜Nao's Story〜



「うちの彼氏が、ちょっかい出したみたいで」


「……あ……」


「本当にごめんねー。あいつ、ほんっと手癖が悪くてさ」



眉を下げて申し訳なさそうに言うけれど。

彼女の立ち姿はどこか余裕たっぷりで、“ごめんなさい”という態度ではない。



「あの……、差し出がましいようですが」



そんな彼女に、あたしは少し間を置いてから切り出す。



「長谷川先輩はやめた方がいいと思います。今回だけじゃないでしょう? こういうことって……」



突っ込まれて、彼女に表情がほんの少しだけ歪む。



「先輩、“彼女とはもう別れた”って言ってたんですよ。自分のことを元カノ扱いされて、悔しくないんですか?」