そりゃ、ちゃんと彼女がいるって話は、森谷や辻さんから聞いていたけどさ。 先輩は「別れた」の一点張りだったし。 それにあたし、もう先輩とは終わってんのに! 「行くことないよ。無視していればいい」 「奈緒……。そうだよ、あんたが悪いわけじゃないんだし」 亜里沙も窓辺にやって来て、正門を見ながら心配そうに言う。 「……あたし、行く!」 「ちょっと奈緒!」 誤解はちゃんと解かないと。 話せばきっと分かってくれるはずだ。 それに…… 彼女もかわいそうだ。