「……これ、さっさと外せよ」



あたしの髪をそっとかきあげて、森谷は、先輩に開けてもらったピアスを指でなぞる。


素直にこくりと頷くあたし。

……自分でも腰が抜けるほどに驚いてしまう。



森谷の言葉や行動にドキドキしながらも、先輩に失恋したショックはやっぱり心に残っている。

信じていたものが、あっけなく崩れたのだから。



「あとの六割。完全に俺にきたら、今度はおまえの口から言って」



……いったい何の罰ゲームですか。


と、照れ隠しに毒づきながらも。

あたしは、“森谷だったら”もう一度、信じてみてもいいかなと思ったんだ。