†Orion†〜Nao's Story〜



――……終わった。


心の底から漠然とそう思った。



先輩を好きなはずなのに。

二度目の森谷とのキスを受け入れようとしたのは、きっと、あの状況に酔っていたからなんだ。

そう何度も言い聞かせて、浅はかな自分を恥じた。



それなのに。

先輩の姿が完全に見えなくなったところで、あたしはふと思ったんだ。



“……あいつは、あたしを追いかけて来ないのかな”



森谷はそのままバスケ部の練習に向かったのか。

それとも、あたしを追う気なんて更々なかったのか。

あたしの思ったとおりにはならなかった。