†Orion†〜Nao's Story〜



これでもかというくらいに仰け反って森谷を拒絶したけれど。

ヤツはすでに、教室を出て行こうとあたしに背を向けていた。



「ちょっと森谷! あんたいま何した!? キ……」



……キス、したよね?


口にするのも恥ずかしい。

あたしの顔はいま、とんでもなく真っ赤になっているに違いない。


ひどく動揺しているあたし。

森谷は立ち止まり、振り返ってニッと笑う。



「なに動揺してんだよ」


「……動揺って……するに決まってるでしょう? なんでなんで……っ」



森谷は、とってもイヤなヤツで。

あたしと先輩の恋路に何かと口を挟んでくる厄介なヤツ。

……まぁ、コイツのおかげで先輩と付き合えたわけだけどさ。