†Orion†〜Nao's Story〜



だいたい、あたしが妬くわけないでしょ。

あたしは先輩ひとすじなわけだし?

ただ単に、あんたと付き合うようなモノ好きもいるんだなーってビックリしているだけよ。



心のなかでついた悪態を、そっくりそのまま森谷にぶつけてやろうと思って口を開いた瞬間。


それまで、夕日でオレンジ色に染まっていた視界が急に影をさした。



「………っ!?」



なにが起こったのか、理解するのに時間がかかった。

ほんの数秒間のできごと。

視界を埋め尽くしていた影がサッとひいて、さっきまでのオレンジ色の視界が戻ってくる。


森谷のフッと笑う声で、あたしはようやく何が起きたのか理解する。



「な……っ……、あ、あああああんたっ、いま何し……っ」