「……まさか。彼女と一緒の時はiPod持って行かないし」
「へえぇぇぇぇ。て言うかさ、彼女なんか本当はいないんでしょ」
嫌みったらしく茶化すと、森谷は呆れたように溜息をつき、あたしを見据える。
「……おまえさ。なんだかんだ言って、実は俺のこと好きなんじゃね?」
「……はあ!?」
「いっつも彼女の話にもっていくじゃん。ひょっとして妬いてんのか?」
意地悪そうに少しだけ上がった森谷の口角。自信に満ちているようにも見える。
「別に妬いてなんかないけど」
あたしはツンとそっぽを向いて、本音を口にする。
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