「あっ、ピアスー。開けたんだね。でもこれ、あたしがあげたやつじゃない……」
「うん、ピアッサーで開けたから。完全に開いたら、さくらに貰ったのに付け替えるよ」
「……ピアッサー? 病院じゃなかったの? お父さんが病院って……」
驚くさくらに、あたしは、開けっ放しになっていたドアをきちんと閉めてから言う。
「絶対にお父さんに言わないでよ。病院で開けたことにしといて」
「あー、ずるい。お金、ドロボウする気?」
「ちがうってば。ちゃんと返すよ」
さくらはマジメで、いくら仲が良いとはいえこういうところは厳しい。
別にあたしも、お父さんに貰ったお金をくすねる気はさらさらないけど。
「誰に開けてもらったの?」
心なしか怒り口調のさくらも、あたしが「先輩に開けてもらった」と言うと、すぐに笑みを浮かべた。


