先輩との“はじめて”は、お父さんとお母さんに後ろめたいものを感じさせた。
「おっ、帰ってきた」
あたしが家に帰りついたとき、お父さんはもうすでに帰ってきていて。
お母さんと仲良くキッチンに立って夕食の準備をしていた。
「おかえりお姉ちゃん」
「奈緒、もうすぐごはんできるからね」
あたしは、お父さんとお母さんの顔を直視できず、すぐに自分の部屋に行った。
そんなあたしを追いかけてきたのは、さくらだった。
「お姉ちゃん、どうしたの? なんか変……」
「別になんでも……」
言いながら髪を耳にかけると、さくらは、開けたばかりのピアスを目ざとく見つけた。


