†Orion†〜Nao's Story〜



「口、少し開けて」



言われるがままに口をほんの少し開けたあと、先輩はキスの続きをした。



初めてのキスは、あたしが思っていたようなものじゃなかった。

思い描いていたキスは、子供がするような軽いモノ。

それが普通のキスだと思っていたのに。



キスを終わらせた先輩の唇は、あたしの首筋をゆっくりと這い始める。



……うそ。うそうそ……っ……!



家を出るとき、こうなることを僅かながら予測していて。

それなりの下着を身に着けてきたのに。


いざこうなると、戸惑う自分がいる――……