†Orion†〜Nao's Story〜



メタボどころか、とてもスリム。

背だって、あたしの頭何個分くらいあるんですか? ってくらいに長身。

顔立ちもすごく整っていて、涼しげな表情は、女でいう“クールビューティー”ってやつだ。

脂でテカテカ? ううん、今もじゅうぶんにキラキラ。


そのとき彼が着ていたのは、コックさんが着ているような制服。

それがますます彼のカッコよさを引き出していて。

トドメは、“料理長”と誇らしげに胸につけられた名札。



……この人が、あたしの新しいお父さんになるの!?



お母さんに会わせるために、彼の運転する車で向かった、あたしたちが住むアパート。

車の助手席で、あたしは、爆発しそうな心臓を抱えながら、懸命にそれを悟られないようにしていた。