いつか、彼女が言った。 『奏先輩の弾くピアノって、 すんなり心の中に入ってきちゃうんです。 すごいです』 そう言って 無邪気に笑っていたけど、 俺から言わせれば、 『アンタのほうがスゴイよ。 俺の心にすっと入り込んできた』 うん、 すごいよ。 俺の負けだ。